直し続けて、30年。
メルセデス・ベンツ修理専門店 シーバース
メルセデス・ベンツの修理と中古部品の販売をする専門店「シーバース」が創業したのは1988年のこと。輸入車インポーターでメカニック経験を積んだ現マネージャーの細野氏が、社長の小暮氏らと3人で立ち上げた。
当初はVWやアウディ、キャデラックといったブランドも取り扱い、中古車の販売も手掛けていた。しかしメルセデス・ベンツに対する需要が群を抜いて多かったため、ならばいっそとすぐに特化する。
景気の良さも手伝って、輸入車の数が急激に増えた時代でもあった。修理と中古部品の需要は高まるばかりで、スペース的にもマンパワー的にも中古車の販売をする余裕がなくなってくる。そこで業態も再構築し、中古車販売は潔くやめることにした。こうして創業から1年以内にはメルセデス・ベンツの修理と中古パーツの販売に集中することとなり、現在に至っている。
こうしてメルセデスに特化して研鑚を積んだ結果、たとえば4速機械式のものから7速電子制御のトランスミッションまで、オーバーホールを含め修理に対応し、高額な新品部品は中古部品で対応してくれる、ユーザーにやさしいショップとなった。
ただし、最近は修理を止める車種や、断る車種が増えてきているという。創業時はW126(560SELに代表される、最も売れたSクラス)全盛の頃で、その時点で旧型となっていた縦目のモデルなども数多く修理してきた。そのため、ヴィンテージと呼ばれるようなクルマについてもノウハウはある。しかし残念なことに修理のための部品は無くなってきているという。古い車種から順に新品部品の廃番が増えていき、中古部品の在庫は減っている。つまり、技術はあっても部品がないという車種が増えてきているのだ。具体的にはW126や同時期の初代EクラスであるW124より古い車種の修理が難しくなってきているそうだ。
部品が無くてできない事、費用的にやらないほうがいいことなどは率直に伝える。そんな姿勢もシーバースが信頼される理由の一つだろう。
創業から数えて30年近くもメルセデス・ベンツの修理一本で成長してきた。現在は5人のメカニックと5基のリフトで年間600台ものメルセデスを修理する。修理してきた台数も間もなくのべ2万台におよぶ。
中古車販売店などの業者が中心だった顧客も個人ユーザーが増えていき、現在では95%以上を占めている。しかもその7割がリピーター、残り3割が紹介と新規だという。メルセデスのユーザーは次もメルセデスに乗り換える人が多いらしく、信頼を得て長い付き合いをしている顧客も少なくない。中には、親子二代にわたるお客さんもいるそうだ。
マネージャーの細野氏は言う。「ウチはベンツだけでこれまでやってきましたし、これからもずっとベンツ一本でやっていきます」
頼りになる修理のスペシャリストがディーラー以外にいる。中古メルセデスのハードルが一段低くなった。